『ゲド戦記』に続く、宮崎吾郎監督の監督作品であるスタジオジブリ制作のアニメ映画の『コクリコ坂から』。
こちらの作品について賛否両論の声が散見されています。実際に、『ゲド戦記』の興行収入が76.5億円に対して『コクリコ坂から』の興行収入は44.6億円でした。
本記事では、高評価の意見とそうでない意見をそれぞれみていき、『コクリコ坂から』の評価についてまとめていきます。
あらすじ(ネタバレ注意)の記事となっています。
『コクリコ坂から』あらすじ(ネタバレ注意!)
1963年の横浜。漁船の行き交う港町の丘の上にたたずむ"コクリコ荘"で暮らす高校2年生の松崎海は、亡くなった船乗りの父に教わった信号旗を毎朝揚げることが日課としていた。
海の通う学校では「カルチェラタン」と呼ばれる男子文化部棟があり、ある日その建物の老朽化により取り壊しするかどうかについて論争が起きた。
その反対派に風間俊という男子生徒がおり、俊と出会った海は俊に恋をする。そして、海は反対派に協力するようになる。
やがてこの論争が全校生徒を巻き込む規模となり、「カルチェラタン大掃除合戦」に発展する。
コクリコ荘に北見北斗という獣医の卵が下宿しており、北斗の送迎パーティをしている際に海の父と友人が一緒に写った写真を俊に見せると、俊は海に対してよそよそしくなる。
海はその理由を俊に問いただすと、海と俊の父は同一人物で、海と俊が兄妹であることが明らかとなった。
俊は兄妹で恋愛をするのは様々な観点からみてよくないと考え、海に対して「これ以上深く付き合うのはやめて、友達のままでいよう」と告げる。
それを聞いた海は激しく落ち込んでしまう。
一方その頃、「カルチェラタン大掃除合戦」は取り壊し反対派が次第に建物の保存に賛同的になり始め、落ち着きを見せ始めた。
しかし、維持費用の問題から学校側がすでに取り壊す方向で進めていた。
この状況を見て、海と俊は反対派の代表として東京へ向かい、学校の理事長本人に直談判をする。
直談判の結果、カルチェラタンの様子を直接見た上で判断するという形で一旦保留となった。
帰りに学校新聞に掲載されていたポエムの話になり、そのポエムを書いたのが俊であることが判明した。
兄妹では恋愛はできないとは思いつつも、好きな気持ちを我慢することはできないとお互いに好きな気持ちを伝えあう。
念のため俊の出生を調べたところ、俊と海は兄妹でないことが明らかとなった。
後日、理事長がカルチェラタンを視察しに来ると、カルチェラタン維持のために奮闘する生徒の様子を見て、カルチェラタン取り壊し案を廃案とした。
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「コクリコ坂から」映画と原作の違いは?それぞれの内容を比較・解説
1960年代の日本の港町を舞台に、高校生の少女と少年の恋を切なく描いたジブリアニメ「コクリコ坂から」。 近年のジブリ映画の中でも特に人気が高いこの作品ですが、実は原作となった漫画があります。 「コクリ ...
『コクリコ坂から』の評価は?
高評価の意見
映画『コクリコ坂から』
保守的な時代の恋愛が逆に新鮮だった。でも、懐古主義者ではない私には、昔を美化している風にも感じられた。時代背景が同じ作品と言えば、『三丁目の夕日』。公開時、井筒監督が観もせずに批判していた事が話題になった。観てない作品を語るのは、愚かで許されない行為だ。 pic.twitter.com/SF4nluDPR4— Old Boy (@LuckyHappy4268) August 24, 2020
まずは『コクリコ坂から』に対する高評価の意見をみていきましょう。
・P.N「スプーン」さん
昭和30年代の雰囲気が作画でうまく表現されており、恋愛についても繊細な表現がされていてよかった。
・P.N「tケトリ」さん
壮大なテーマを扱うジブリ作品の中では珍しいタイプの映画だったが、心に残る作画やストーリーだった。
・P.N「みぃ」さん
シンプルなストーリーだが、全体的に優しい雰囲気で主題歌も雰囲気に合ってて入り込めた。
これまでのジブリ作品の中では珍しい壮大で複雑な設定やファンタジーさのない素朴さを感じる設定ですが、昭和の雰囲気をうまく表現していて、なにより私たちの日常に近いので世界観に入り込みやすいと感じる人が多いようです。
低評価の意見
続いて、低評価の意見をみてみましょう。
・P.N「タクト」さん
60年代を知らない私からすると、共感することが難しく、過剰に表現しているように見えた。
・P.N「カズ」さん
家族を連れて見に行ったが、ジブリ独特のファンタジーさがないのがしっくりこず、ストーリーに子供達がついていけていないといった感じで違和感だけが残った。
・P.N[まりっち」さん
ジブリに求める非現実感がなく、ポニョでも迫力はあったけどそれもなかったのでイマイチだった。
これまでのジブリというコンテンツが人々に非現実性を与えてきたために、あまりにも平凡だと感じてしまう意見が多かったです。どことなく平凡だと感じると同時に、60年代の時代背景を知らない人にとっては登場人物に感情移入できなかったり、そもそも60年代を知らないからこそ共感はできても感情移入してしまってよいのかという躊躇いがあったようですね。
またその非現実感があったからこそストーリーに対してあまり気にせず見られた子供にとって、見づらい映画のように感じてしまったようです。
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コクリコ坂からのその後。海と俊の2人はどうなったのか?
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『コクリコ坂から』のあらすじや評価のまとめ
本記事では、宮崎吾郎監督の作品『コクリコ坂から』の評価をみていきました。
これまでのジブリ作品とは異なり、ファンタジーという非現実感ではなく60年代の私たちの日常に少し近い表現を展開した作品で、日常に近い分感情移入しやすくて見やすかったという意見もあれば、逆にジブリに非日常感を求めていたためにガッカリしてしまう人が多かったため、賛否両論の評価となってしまいました。
私の見解としては、ジブリのコンテンツは非日常系だからそれ以外はダメだと決めつけてしまってはジブリのコンテンツの可能性を狭めてしまうリスクがあります。高評価の意見にもありましたが、私たちの日常に近しいにつれて感情移入しやすい傾向があるため、この作品はこの作品で大切にして、今後の作品にも生かしていくべきだと考えます。
しかし恋愛面において、普段からアニメを見慣れているような人だと兄妹愛を組み込んだストーリーの作品は近年増えていることから、兄妹愛をスッと受け入れやすいかもしれませんが、ジブリというアニメ好き以外にもターゲットを置いた作品に採用するにはリスクのある展開であったような印象です。
ジブリというコンテンツにこだわらず、恋愛作品が好きで、日常的な温かみのある雰囲気が好きな人にとてもおすすめな作品です。