炎を操る新人類とそれに立ち向かう消防隊の戦いを描き、
スマッシュヒットを記録したアニメ映画「プロメア」。
新感覚のアクションアニメとして人気を集めたこの作品ですが、
その設定が人気アニメ「炎炎ノ消防隊」に酷似していることから
「盗作では?」という疑惑がささやかれてきました。
ネット上で議論されている騒動について、情報を整理しながら考察します。
Contents
「プロメア」と「炎炎ノ消防隊」はどんなところが似ている?
近未来を舞台に消防隊と新人類の戦いを描く「プロメア」
「プロメア」は、「天元突破グレンラガン」などで知られるアニメーター、
今石洋之が監督を手がけた2019年公開のアニメ映画です。
舞台は「バーニッシュ」と呼ばれる炎を操る新人類が現れ、
「世界大炎上」という災害によって人口が半減した近未来。
能力を使ってテロをくり返す「マッドバーニッシュ」と呼ばれる集団と、
それに立ち向かう高機動救命消防隊「バーニングレスキュー」の戦いが描かれます。
主人公はバーニングレスキューに所属する新米青年ガロ。
情熱的な正義感で奮闘する姿が印象的な正統派ヒーローキャラです。
また、マッドバーニッシュを統率する少年リオももう一人の主人公となっていて、
社会から迫害されるバーニッシュたちの過酷な現状への憤りを語るなど、
単純な善悪では語れない世界観を体現しています。
人体発火現象に立ち向かう消防隊の奮闘を描く「炎炎ノ消防隊」
「炎炎ノ消防隊」は、週刊少年マガジンで2015年から連載されているバトル漫画です。
作者は「ソウルイーター」などで知られる人気漫画家の大久保篤で、
2019年にはアニメ化されて人気が爆発。2020年7月からは2期目も放送されています。
人間が突然発火して「焔ビト」という存在になってしまう世界が舞台になっていて、
炎にまつわる能力を使って焔ビトの暴走を止めようと奮闘する特殊消防隊と、
能力を悪用して暗躍する組織の戦いが描かれます。
主人公は特殊消防隊に所属する少年シンラ。
彼を中心に、消防隊や敵対組織のキャラクターたちの戦いが群像劇スタイルで描かれるのが特徴です。
世界観やテーマ、一部のデザインもそっくり?
「プロメア」と「炎炎ノ消防隊」の舞台設定やあらすじを見ただけでも、
かなり似ていると多くの方が感じるのではないでしょうか。
「炎の能力に目覚める人間がある日いきなり出現」という始まりや、
暴走する能力者に特殊な消防隊が立ち向かうという世界観、
「正義」を中心としたテーマなど、作品の軸と言える部分に多くの共通点が見られます。
また、「プロメア」のマッドバーニッシュと、
「炎炎ノ消防隊」の焔ビトのデザインにも多くの類似点があります。
見比べてみると、どちらも黒いボディに長い手足、牙を剥いて笑ったような口など、
同じようなコンセプトを持っているのでは?というポイントがいくつもあるのが分かります。
「プロメア」の盗作騒動の注目ポイントをまとめてみた
「プロメア」の情報解禁後からささやかれていた”パクリ疑惑”
「プロメア」が「炎炎ノ消防隊」の盗作だと言われることになったきっかけをさかのぼると、
その世界観やあらすじなどの情報が解禁されたプロモーション初期まで戻ります。
「特殊な消防士」や「発火能力」といった要素を見ただけでも、
「さすがに似すぎじゃない?」「もしかしてパクってる?」
と思う方が多いのは仕方ないのかもしれませんね。
「炎炎ノ消防隊」作者の発言がきっかけで炎上
「プロメア」の盗作疑惑が一気に高まったのが、
「炎炎ノ消防隊」の作者である大久保篤氏の、マガジン巻末での作者コメント。
「連載前の情報はたとえ知人でも話さない方がいい」「どこで盗まれるか分からない」
といった発言を残していて、これが大きな議論を呼びました。
「プロメア」の話題が高まっていた最中の発言だけに、
これは明らかに「プロメア」のことを言っているのでは……?
という声がネット上で広まります。
さらに、「炎炎ノ消防隊」の連載開始直前、2015年9月ごろには、
大久保氏と「プロメア」のキャラクターデザインなどに参加した
コヤマシゲト氏のTwitterのやりとりがあったことが発覚。
そこでは大久保氏がコヤマ氏に連載前から作品設定の話をしていたことが書かれていました。
このことが、マガジン巻末での大久保氏の発言と
「プロメア」の盗作疑惑を結びつける決定的なものだとネット上では噂されています。
「プロメア」の方が早くから企画されていた?
状況を見るとかなり疑惑が深まる「プロメア」の盗作騒動ですが、
プロメアの制作陣によるインタビューでは、
アニメ映画制作のアイデアや企画そのものは「炎炎ノ消防隊」の連載前となる
2013年~2014年ごろから上がっていたと語られています。
そのころから「炎」というテーマも出ていたそうです。
これだけを見ると「プロメア」の盗作疑惑は晴れるように思えますが、
この企画の立ち上げから作品の公開まで5年という長期間がかかっていること、
その間に大久保氏とコヤマ氏のやりとりがあったことなどを考えると、
「炎炎ノ消防隊」の設定を「プロメア」の中に取り入れることも簡単にできてしまいそうですよね。
「プロメア」の方が企画が早く始まっていた、という情報だけでは判断はできません。
まとめ:「プロメア」の盗作疑惑の真相はまだ謎のまま……
結論を言うと、
「プロメア」の「炎炎ノ消防隊」に対する盗作疑惑の真相はまだ謎のままです。
かなり疑わしい情報がそろっていますが、決定的な証拠があるわけではありません。
ただ、「炎炎ノ消防隊」の大久保篤氏が自身の発言をきっかけとした騒動について
まったく触れていないことから
「ここまで炎上が広がってるのに否定しないってことは「プロメア」の疑惑は本当?」
という見方も多くあります。
大久保氏がこれ以上言及せず、
「プロメア」の制作陣もこの件に一切触れていないことから、
裏で何らかの話し合いがあって決着がついたのか。
いろんな想像ができますが、はっきりとしたことは分かりませんね。
「プロメア」の盗作騒動に決着がつく日は来るのか。
さらなる続報にも注目です。