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映画「パリ テキサス」感想・評価レビュー【全ての映画ファンに観てほしい】

こんにちは、今回は「パリ テキサス」という映画を観たのでレビューします。

「パリ テキサス」作品紹介

この映画は、言わずと知れたヴィム・ヴェンダース監督の名作中の名作です。1984年の映画ながら未だ色褪せることのないマイフェイバリットロードムービーで、映像から音楽、そして何よりナスターシャ・キンスキーの魅力に目が離せない作品です。

フランスのパリではなくテキサスのパリス。心に傷をおったであろう男が彷徨うテキサスの砂漠。ひとつの家族の中での人間関係と感情が入り乱れながらもどこか心温かくなるストーリーと美しい映像、それを際立たせる音楽の極上バランスに見ているうちにどんどん癒されていきます。父と子、兄弟、そして妻。それぞれの思いや事情を抱えながら不器用に、でも自分の気持ちに真っ直ぐに生きていく人たちの心の風景を見事に映像化し、余韻のある作品に仕上がった傑作です。

また、ストーリーとは関係ないものの、ナスターシャ・キンスキーのファッションやヘアメイク、その蠱惑的な佇まいなど、ファッションという視点から見ても楽しめる1本ではないでしょうか。ざらりとした質感の映像と乾いた空気間、どのシーンを撮っても絵になる美しい映像、そんなシーンを繋ぐ音楽と、映画作品というジャンルに駒得られる全てが詰まった珠玉の1本。これを見ない手はないです。

「パリ テキサス」を見た感想

私はこの映画はを観たことで、たから見たらとんでもなく滑稽でおかしくて、少し狂気じみていたりしたとしても、自分の心の赴くまま正直に生きることの素晴らしさを学び感じました。また、そんな生き方を困惑しつつ戸惑いながらも支える家族愛の深さや人生の難しさ、不器用にしか生きてゆけない人々のおかしさや悲しさがギュッと詰まっているので、それを見るにつけ「人間は完璧でなくとも、どこか欠けた存在であってもそれゆえ愛おしい生き物なのではないだろうか」と感じ入ることができます。ストーリーから学ぶこと以外にも映画にとってどれほどそこに添える音楽が重要なのか、セリフのないシーンでの空気感や間などが生む存在感など、実世界においても語らずとも空気感で醸し出すということがいかに雄弁なのかを改めて知れたように思います。この映画を見てこういう風に生きたい、と前向きになるというよりも、自分らしくて良いのだ、それをわかってくれる人もいなくはないのだろうという優しい希望のようなものが湧き、それと同時に、何気ない日常の中で不意に起きる喪失やボタンのかけ間違いがたとえ起こったとしても、それを受け入れ時間とともに解決できるのではないだろうかという気持ちにさせてくれます。

また、この映画を観てから、自分の信じること、目指すもの、知りたいこと、それら全ての欲求に忠実になっても良いのだと感じました。映画の世界が現実的なようで非現実なので直接自分に置き換えて大きな変化が出るという種類の作品ではないけれど、もし心が疲れてしまったら、その時は心の思うままにどこへ行ったって構わないんだというひとつの選択肢を提示されたようで鑑賞後は気持ちが確かに軽くなります。余韻が残る映画ですが日本で生きている限りなかなかこういうシーンに身を置くことはないですが、本作を見る前と見た後では肩の力の入り具合に変化がありました。明らかに少し軽くなっていて、今ここにある現実を受け入れること、受容することなどを学べたことで、日々の生活が身軽になったかもしれません。これはロードムービー全般に言えることですが、いつだって自分が出かけたい時に目的なく思うがままに旅に出られるんだということを映画から学べたのは、生きていく上でとても大きな財産になったと感じます。冒険ドラマの主人公のように道無き道を行くのはヒーローやヒロインの仕事だけれど、普通の人生を送る普通の人にとっては、ロードムービーの中で様々な葛藤を抱えながらそこにある道を辿って旅に出ること、それこそ一種の生き方のロールモデルになったと思います。

「パリ テキサス」はこんな人に見てほしい

この映画は、ミニシアター系映画が好きな人、ロードムービーが好きな人、音楽が好きな人。そしてファッションが好きな人。全ての映画ファンに見て欲しい作品です。ハリウッド超大作のような派手さも胸躍るアクションも手に汗握る事件も巻き起こらないけれど、普通に日々を生きる私たちの人生にだってもしかしたら起こり得るかもしれない人生のワンシーンを丁寧に切り取り、とても美しく映像化した名作です。今喪失感を抱えている人も、このままどこへ行けば良いのか道を見失っている人も、鑑賞後はきっと自分なりの「答え」らしきものを感じられるのではないでしょうか。派手さもなければ非日常的な事件も起こらないけれど、そこにあるのは圧倒的な非現実間。

それは砂漠という連鎖する景色に彩られた魔法のようなもので、ロードムービーはかくあるべきと思わせてくれます。また、映画が好きで将来的に映像関係の仕事を志している人にとっては必ず通っておくべき作品だと思うし、今なおファンが多いのはそれだけ魅力に満ちた作品であるがゆえ。大勢でワイワイ楽しむ作品というようりも、ゆったりと過ごしたい自分ひとりの週末に、ワインを片手に繰り返し見て欲しい、エンドロールまで見て欲しい1本です。

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